スペインにおいても大西洋側のワイン産地では、自然派はもとよりビオでワインを造る生産者は稀だ。地中海側ではこれだけ自然派が広がりを見せているなか、大西洋側でも必ずや自然な手法でワインを造る生産者が出てくるはずだ、と踏んでいた私は執念をもって調査していたのだ。 ビエルソは、正確に云えばマドリッドの北西に広がる内陸のカスティーリャ・イ・レオン州に属する。しかし、その中にあってビエルソは異色に見える。なぜならスペイン最西北端のガリシア州と接する地域に位置するからだ。プエルタ・デル・プエントのボデガがある場所も標高800mの山あいで、主にシスト土壌から白はゴデージョ、赤はメンシアを主体として清涼感あるワインを生み出している。プエルタ・デル・ビエントのオーナー、ホルヘ・ベガは、ビエルソで初めて自然派(ナチュール)を造り出した生産者だ。彼は全くの何も入れない主義で、ビオのぶどうを栽培し、SO2も含めて一切なにも加えずぶどうだけで醸造する(瓶詰め時もSO2添加しない)。さらに彼は、この地の絶滅しかかった品種「パン・イ・カルネ」pan y carneの栽培に情熱を注いでいる。その品種名の意味は面白いことに「パンと肉」!ホルヘはこの絶滅したと思われていたぶどうの樹を数株発見し、それを挿し木にして増やしている。この品種からどんなワインが生まれるのか、その可能性に関心が注がれている。(インポーター資料より)