ラツィオ州北部ボルセーナ湖の西に位置するラーテラ。この周辺では、以前からグラードリにあるレ・コステ、アンドレア・オッキピンティを皮切りにこの土地が再考察され、ここ最近ではその2蔵などで経験を積んだラ・ヴィッラーナ、そして、 カーポ・ディ・モンテのイル・ヴィンコ(弊社取り扱い)、少し離れたオルヴィエートのラーヨラ、ヴィテルヴォのポデーレ・オルトなど新たな造り手が頭角を現し始めている地域です。
そこへ登場したのがこのカンティーナ・オルタッチョのマッシモ・アントヌーツィ。以前は夫婦で
ローマを拠点に、長くエノテカ経営をしていたのでワインとの関わりも深かったのです。
しかし畑や蔵に出向くことはあったものの、 草刈すらしたことは無かったらしいのです。マッシモと妻のパトリツィアは将来の生活スタイルを話合い、都会の喧噪を離れ自然の中で暮し、自分達が後世にも土壌を残すことが出来る農業スタイルと持続的なワインを造る人生を送るためにこの地へ移ってきました。
蔵に接するリビング(ダイニング)は、キッチンやソファー、沢山の本とレコードに囲まれて、中でも彼が大好きなのはアストル・ピアッツォラ(アルゼンチンのバンドネオン奏者)。彼の演奏をして聴きながら夫婦でゆっくり時間を過ごすのがローマでもつことが出来なかった時間なのだそうです。
ボルセーナ湖の周りには、先人達が手掛けてきたが、根絶していまう恐れのある忘れられた畑(耕作放棄地)が点在し、その僅か1ha(Vecchi Filari/ヴェッキ・フィラーリ)の土地購入から始めました。そこにプロカニコ、グレケット、アレアーティコ、ロシェットといった土着品種が残り樹齢は30年以上で、一部には新たに植樹しています。
無論、その畑は健全な状態で残ってはいたものの、無添加で醸造しようとすると彼にとっては一段と丁寧な仕事も要求されます。ただ、直向きに畑で作業し、この風土を活かしたワインを醸造しようと意気込む姿には感銘を受けます。古代には火山カルデラであったこの土地はミネラルを存分に蓄え、そのポテンシャルにマッシモも大きな期待を寄せています。
マッシモ夫妻の蔵はかつても住居として使用され、土地特有の黒岩石を掘削した場所を改良したもので、狭い入り口付近は作業をスムーズにするため、床をレンガ貼りしているものの、ワインを熟成させる内部は洞窟そのもの。年間を通して涼しい気温が一定し、湿度も80%という環境です。
手前の小部屋でワインの醗酵(長期マセレーション)などが行われ、最終的には奥の洞窟内にある古いバリックで熟成させます。醸造段階からボトリングまで酸化防止剤無添加。
(インポーター資料より)